AIがコードを書く時代に、私は何を作ればいいのか

この一週間、vercel v0 を使ってアプリの試作に取り組んでみました。

モックアップを生成するスピードは驚くほど速く、意図を汲んだディレクトリ構成や読みやすいコードを提案してくれました。 初回の起動時にはエラーが発生しましたが、「エラーを解決して」と伝えると、すぐに修正案を提示してくれました。

自然言語で開発が進んでいく様子は、まさに言葉でコードを書くという体験でした。 とはいえ、それを「自分がプログラミングしている」と言い切るには、まだ多少の違和感があります。 実際には、AIが作っているのです。

私はまだ試していませんが、v0はデータベースや外部サービスとの統合、デプロイ機能にも対応しているようです。 生成されたコードはZIPでダウンロードできるため、AWSやGCPなど任意の環境に展開することも可能です。

（VercelがNext.jsの開発元であることもあり）v0自体はNext.jsを基盤としているため、 たとえば AWS Amplify を使って AWS上で動作させることも現実的です。

実際に私は、v0に対して「CognitoとDynamoDBを使いたい」と指示を出してみました。 すると、SDKを活用した構成を自動で生成してくれました。 ただし、動作させるには環境変数（AWSの認証情報など）の設定が必要で、入力に躊躇があったため、 「モック化してほしい」と伝えると、即座にダミーデータを利用した構成に切り替えてくれました。

このような高速なトライ＆エラーの反復が、当初自分が思い描いていた構成の不備や見落としを素早く修正させてくれます。

私は日頃、プログラミングを通じてこう感じています。 「人は目の前に“もの”があることで、思考が加速する」と。 いわば「作ってみないとわからない」のです。

ただ、「作ってみる」までにかかる時間が、これまでの開発では長すぎました。 これは、使う技術スタックや作り手の習熟度に大きく依存していたからです。

v0のようなツールによって、そのフェーズがわずか5分ほどで完了することには、大きな意味があります。 それは圧倒的なアドバンテージである一方、私たちエンジニアにとっては、少なからず脅威でもあります。

「私はこの不安を、いつになったら乗り越えられるのか」 そんなことを、少し自嘲気味に考えています。

ただ、AIを敵視するのではなく、どう共存していくかに視点を移さなければならないとも感じています。

開発サイクルの加速は、ユーザーが本当に求めているものに、より早く、より深く近づくためのチャンスでもあるはずです。 設計やコードの品質はAIが担ってくれる。 だからこそ、私たち人間は、より本質的な問いや価値に集中できる時代が来るのかもしれません。