開発の“手段”を手放し、“目的”と向き合う

2022年末、ChatGPTが登場しました。 それ以前からAIの世界は画像認識や機械学習などで盛り上がってはいましたが、開発そのものの工程に変革をもたらすような動きは、まだ実感を持てていませんでした。

しかしChatGPTの登場は、開発プロセスそのものが置き換えられるのではないかという懸念を呼び起こしました。 実際に実務で使ってみると、それは「置き換え」というより、非常に優秀なアシスタントとして開発を加速させる存在であることがわかりました。 GitHub Copilot の「副操縦士（Copilot）」というネーミングは、まさにその本質を言い当てていると思います。

それから3年が経ち、2025年現在、生成AIはさらに進化し、AI駆動開発という新たな開発スタイルが確立されつつあります。 Replit Agent や Bolt、v0 などの開発エージェント系サービスは、その中心的な存在として急速に成長しています。

私もそのうちの一つ、Replit Agent に触れてみました。 もちろん、一発で完璧なアプリが生成されるわけではありません。 （そもそも私たち自身だって、完璧なアプリを一発で作ることなどできません）

それでも、プロンプトで指示を与えるだけで、わずか10分ほどでアプリの雛形が生成され、 その後の追加指示によって、次々と機能が実装されていきました。

しかも生成されたコードは、私が普段書いているものよりもずっとクリーンで、ベストプラクティスにも沿っています。 私は自分が優れたプログラマーではないことを自覚していますが、それでもこの体験は、強い衝撃と不安をもたらしました。 「このままでは、私は職を失ってしまうのではないか」と。

しかし、数日落ち込んだのち、ようやく気づきました。 私は「アプリを作ること」ではなく、「アプリを作る過程」にこだわっていたのだと。 それは手段にすぎず、アプリが果たすべき目的ではなかったのです。

どれだけ人気のある言語を使っているか。 どれだけ優れたフレームワークを採用しているか。 そして、どれだけ「稼げる技術スタック」を持っているか。 私は、その“作る過程”に価値を置き、小さくとも誇りを感じていました。

でも、その過程は今、AIによって代替されつつあります。 たとえ完璧ではなくても、自分なりに納得できるコードを書くこと。 そこにあった達成感は、もう手放さなければならないのかもしれません。

だから私は今、自分自身に変革を起こす必要があると感じています。 そしてそれは、システムエンジニアという職の再定義につながるはずだとも思っています。