コードを書く楽しさを失って、気づいたこと

vercel v0 を利用したアプリ開発を、引き続き進めています。

改めて実感しているのは、アイデアをすばやく形にし、目の前に置いてみることの重要性です。

ソフトウェア開発において、バグは早期に発見されるほど望ましいと言われます。 それは、リリース後にユーザーから報告されるより、 QA担当者の第三者検証で見つかるより、 単体テストやコードレビューで検出されるより、 実装中や設計段階で気づけるよりも—— とにかく「もっと早く気づけていれば」となる場面が少なくありません。

そしてこれは、バグに限らず改善点についても同様です。 課題に早く気づければ気づけるほど、手戻りは少なく、方向修正もしやすくなります。

その点で、vercel v0 のようなAIエージェントを活用した開発は、非常に大きな可能性を感じています。 圧倒的なスピードで、アイデアをコードという形にしてくれます。 そして生成されるコードも、可読性や設計の観点から見て、高い品質を持っています。 （ここで言う「品質」とは、プロダクトとしての完成度ではなく、構造や整合性といったコードの良さを指しています）

このように、短時間で何度も試行できる環境があることで、改善点や設計上の問題に早く気づくことができます。 しかもその速さは圧倒的で、10分もあればプロトタイプができてしまうほどです。 このスピード感において、人間が勝てる場面は、もはやほとんど存在しないのではと感じています。

このキャッチボールの速さは、開発者により深く考える時間をもたらしてくれます。 「もっとこうした方がいいかもしれない」と思ったときに、 「でも、今から組み直すのは大変そうだな」といったブレーキがかからなくなったのです。

正直に言えば、「コードを書く楽しさ」は少し減ったかもしれません。 でもその代わりに、「プロダクトの質を高めること」に集中できるようになりました。

本来、私たちが目指しているのは「良いコードを書くこと」ではなく、「良いプロダクトをつくること」のはずです。 （……とはいえ、私自身がコードを書くことに喜びを感じていたため、これは少し寂しいことでもあります）

けれど、目的に集中できる環境があることは、ソフトウェアの質や価値を高める大きな助けになると信じています。 これは単に「新しい開発スタイル」なのではなく、 これまで人間が担ってきたがゆえに、本質的には不要だった作業の一部をAIに任せることで、 私たちが本来向き合うべきものに、より多くの時間と意識を注げるという変化なのだと思います。